夏と、退職と、秋と、

夏から秋までの距離は案外長い。9月という名前が夏を終わらせたように思えてからも暑さは引かず、そんなチグハグした日々が1か月弱続いたあたりで、やっと落ちていく気温と手を繋げた気がする。この夏まで、飽和した瓶みたいに隙間のない1日が多くある中で、少しずつ身や心を削ってきたと思う。張り詰めてる時間が多くの割合を占めている生活が続くと、心身に色んな不具合がもたらされることを実感して、私はなんとなく漠然とみんなの事とかが心配になる。なんともお節介で愛に溢れた思考回路である。

春先、光る輪のマスタリングをしているときに左耳の様子が少しおかしい(低い音が聴こえづらい)ことに気が付いて、でも日によって大丈夫な日も多かったし、そもそも私生活ではほぼ聴くことがない帯域なので、気にしながらも騙し騙し生活していたんだけど、7月に一度症状が強く出て、流石に通院した。低音性難聴って言われて、薬を2種類もらった。難聴って飲み薬で治すのか~、と思った。正直そのあたりから今までの生活を続けていくことに疑問を覚え始め、猛烈に会社を辞めたくなってきて、衝動的に会社を辞めた。そもそも俺はこの会社に入ったばかりの頃に適応障害で上半身全体に蕁麻疹が出て、それでも会社に行き続けることで無理やり体を環境に適応させた実績もあったので、普通に会社が自分に合ってなかったと思う。でも全くブラックというわけではなかったし、心も特別辛いというわけではなかったので、心より先に身体に症状が出るタイプなんだと思う。

8月いっぱいで前職を辞めてから2週間くらい休んだ。辞めた途端、今まで張り詰めていた色んなものが一気に緩んで、安楽死前かというくらい、何度も寿司を食べて、しばらく会ってない人たちに挨拶しに行って、何度も酒を飲んで、中野の焼き鳥居酒屋で食中毒をもらって、3年ぶりくらいに本格的に体調を崩した。食中毒による胃腸炎で免疫が下がったところに咳の風邪っぽいものにかかるお馴染みのコンボで3週間くらいずっと体調が悪かった。全然意味がわからない。みんな、身体はお大事にね。

 

そんなこんなで、秋の下がり始めた気温にも後押しされて、色んなものが緩み続ける一方だったけど、そこから少しずつまた、大切なことを大切なまま引き上げるように、引き締めるように、心を持ち直してゆきます。10月。夏から秋までの距離を測って、秋から冬までの距離を測る。計測を間違えないように気をつけながら、丁寧に測ります。みんなのことを想っています。